機内での健康管理

機内で快適かつ健康的にお過ごしいただくことは当社にとって重要です。シドニー大学のチャールズパーキンズセンターとの提携により、考慮すべき情報をまとめました。

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ご確認事項

お客様と同じように私たちも旅が大好きです。機内ではゆったりとした座席、新鮮な食事、エンターテインメントを存分にお楽しみいただけますが、日常ではあまりないほど長時間座っていなくてはならないことも事実です。

さらに、機内の気圧の変化、湿度の低さに加えて、目的地によっては、いくつもの時間帯を高速で通過するといった要因もあり、到着する頃には少しだるさを感じていることもあるでしょう。

飛行距離や、使用機材を問わず、飛行機での移動が体に与える影響を最小限に抑える上で役立つ、健康と快適さに関するアドバイスをぜひ参考にしてください。

機内の湿度と脱水症状

機内の湿度は通常25%以下です。これは、機内に取り込まれる外気が非常に乾燥していることが原因です。湿度が低くなると、鼻や喉、目が乾燥することがあります。

このような症状には次のような対策をおすすめします。

  • 水分を十分に取ってください。
  • 炭酸飲料、コーヒーやアルコール類は控えめにしてください。脱水状態になることがあります。
  • コンタクトレンズによる目のかゆみや痛みを感じる場合には、眼鏡のご使用をおすすめします。
  • 肌の保湿のために、クリームなどをお使いください。

機内での飲食

十分な栄養を取り、フライト前から到着まで快適に過ごせるように備えましょう。

気をつけるべき点

  • バランスがよい、栄養価が高く軽めの食事を取ること。
  • 食べ過ぎは禁物です。体を動かさないときに食べ過ぎると消化しにくくなります。
  • お休みになる直前は、非常にスパイシーな食べ物(唐辛子、マスタードなど)は避けてください。代謝を刺激し、睡眠を妨げる可能性があります。
  • 水分を補給には水やハーブティーを取り、炭酸飲料、コーヒー、紅茶、アルコール類など体の水分を奪う飲み物は控えてください。

血液循環と筋弛緩

長時間、背筋を伸ばしたまま座っていると、次のような状態になる場合があります。

  • 足の中心の血管が圧迫され、血液が心臓に送られにくくなります。
  • 筋肉の緊張により、フライト中だけでなくフライト後も背中の痛みや過度の倦怠感を覚えることがあります。
  • 体内の体液を心臓に送るための正常な循環機能が妨げられ、重力によって体液が足に集まり、長時間のフライト後に足がむくむことがあります。
  • 長時間動かずにいると、大腿の静脈に血栓ができる深部静脈血栓症(DVT)を発症する原因となることが研究により明らかにされています。さらに、特定の薬物治療中や医学症状の治療中の場合、血栓ができる可能性が高くなる場合があります。

医学研究によると、脚の高い血栓リスクがある要因には、次のものがあるとされています。

  • 本人または家族が深部静脈血栓症になったことがある
  • 最近手術を受けた、または負傷した(特に下肢や腹部)
  • 凝固傾向の増加につながる血液疾患
  • 1日以上動いていない
  • 40歳以上
  • 経口避妊薬を含むエストロゲンホルモン療法
  • 妊娠
  • 喫煙
  • 悪性疾患(過去または現在)
  • 肥満
  • 脱水症状
  • 心不全
  • 脚の静脈瘤

推奨事項

  • これらの項目のいずれかに該当する場合、または健康状態や飛行機のご利用について不安がある場合は、ご出発前に医師に相談なさることをおすすめします。
  • 加圧靴下には、足首や足のむくみを予防する効果や、下肢からの血液循環をスムーズにする効果があります。加圧靴下については、医師にご相談ください。薬局、医療機関で購入できます。足に合うサイズのものをご使用ください。
  • フライト中は、1時間に3〜4分程度お座席で脚や足を動かしたり、時折機内を歩いたりすることをおすすめします。
  • 機内でおすすめのエクササイズを試し、時折機内を歩いてください。

機内でのエクササイズ

これらのエクササイズは、長時間座っている間に凝りやすい特定の筋肉群を伸ばして動かす安全な方法として考案されています。血行を促進させ、筋肉をもみほぐすのに効果的です。

エクササイズは1時間に3〜4分行い、時折座席から離れて通路を歩くことをおすすめします。シートベルト着用サインが消えているときは安全です。

エクササイズをするときは、他のお客様への迷惑にならないようにご注意ください。痛みを感じる場合や簡単に行うことができない場合は、エクササイズをお控えください。

さらに詳しい情報はQantas Magazineでご覧ください。

エクササイズ

1. 足首を回す

足を床から持ち上げます。片方の足は時計回り、もう片方は反時計回りに同時に動かして、つま先で円を描きます。次は逆方向に回します。それぞれの方向に15秒間ずつ回します。お好みで何度か繰り返します。 

2. 足あげ

3ステップで行います。 まず両足のかかとを床につけ、足をできるだけ上に向けます。両足を床の上に平らに置きます。母指球を床につけたまま、かかとを高く持ち上げます。 この3ステップの動作を連続して行い、30秒間隔で繰り返します。

3. 膝あげ

大腿筋を収縮させながら、膝を曲げた状態で脚を上げます。もう一方の脚でも同じ動作を行います。片足につき20〜30回繰り返します。 

4. 首回し

肩の力を抜いて頭を肩の方に傾けます。首をゆっくり前に動かし、約5秒間その姿勢を保ちます。次に後ろの方に動かし、同じく5秒間維持します。5回繰り返します。

5. 膝を胸へ

体を少し前に曲げます。両手で左膝を抱え、胸に引き寄せます。その姿勢を15秒間維持します。両手で膝を抱えたまま、ゆっくり下ろします。もう一方の脚でも同じ動作を行います。10回繰り返します。 

5. 前屈

両足を床につけておなかを引っ込め、ゆっくり体を前に曲げます。脚の前面をかかとに向かって手を這わせます。その姿勢を15秒間維持したら、ゆっくり姿勢を戻します。 

6. 肩回し

やさしく円を描くように肩を前、次に上、後ろ、下に向けてすぼめます。

客室の気圧

高度10,000m以上を飛行する際は、お客様の健康に適した快適な気圧に調整する必要があるため、機内は最高で海抜2440m地点と同等の気圧に加圧されます。

機内での加圧や、上昇・下降中の機内の通常の気圧変化は、ほとんどのお乗客にとっては影響ありませんが、上気道炎や鼻炎、閉塞性肺疾患、貧血、特定の心臓血管性疾患などの症状をお持ちのお客様は不快にお感じになることがあります。

お子様や乳児も気圧の変化を不快にお感じになることがあります。

鼻づまりやアレルギーなどの症状をお持ちの方は、耳や鼻腔の通りをよくするために降下30分前までに鼻用スプレーや充血除去剤、抗ヒスタミン剤などを服用してください。

風邪、インフルエンザ、花粉症の場合、鼻に症状が出ることがあります。鼻の膜が腫れていると、耳管(鼻腔と中耳の空洞の間にある小さな管)をふさいでしまうことがあります。これにより、機内の気圧の変化、特に下降時に不快感を引き起こすことがあります。

推奨事項

  • 鼻づまりやアレルギーなどの症状をお持ちの方は、耳や鼻腔の通りをよくするために降下30分前までに鼻用スプレーや充血除去剤、抗ヒスタミン剤などを服用してください。
  • 酸素吸入が必要な既往症をお持ちのお客様は、カンタスに酸素の手配を依頼できます。ご出発5日前までにお知らせください。
  • 唾液を飲み込む、あくびをするなどで「耳抜き」をしてみてください。 
  • 乳児をお連れになる場合は、下降中にミルクやおしゃぶりを与えてみてください。吸ったり飲み込んだりすると、耳腔内の圧力と外部気圧との平衡を保つ効果があります。

 

時差ぼけ

体に夜と昼の新しいサイクルに適応する機会が与えられず、異なるタイムゾーンの場所に移動することは、時差ぼけの主な原因になります。一般的に、フライト中に越えて行くタイムゾーンが多いほど、体内時計が狂いやすくなります。体内時計が調整できるまで、通常は越えた時間帯1ゾーンにつき約1日かかります。一般的に見られる症状には、夜の不眠、日中の疲労、食欲減退、不自然な時間の食欲増加があります。

時差ぼけによる影響を最低限に抑えるために、次のことをおすすめします。

  • ご出発前は休息と睡眠を十分に取ってください。
  • 可能であれば、旅先での時間帯に合わせるための余裕を1〜2日取ってください。
  • 可能な場合は、ご出発の2〜3日前から、旅先での就寝時刻に合わせて30分またはそれ以上就寝時刻を調整してみてください。
  • 旅先では、昼は明るい場所、夜は暗い場所にいるよう心がけてください。日中の時間帯は屋外で過ごして明るい光を浴びて、眠るまでの間は人工的な光を避けるようにします。
  • 就寝2時間前を過ぎたら、ノートパソコンやスマートフォンなどを使用しないようにします。
  • 機内の客室の照明が落とされたら、十分な睡眠を取りましょう。
  • バランスの良い食事を取り、水分を補給します。
  • 可能であれば直行便を利用して、最短時間で目的地に到着できるようにします。
  • 運動、柔軟体操、ストレッチ、ウォーキング、ランニングなど、日常的に行っている軽めのエクササイズを試してみてください。

乗り物酔い

乗り物酔いは、視覚と平衡感覚との間の矛盾が原因で起こります。乱気流によって内耳の中の体液が動く可能性があるため、乗り物酔いを引き起こす可能性が高まります。めまい、疲労感、吐き気が最も一般的な症状です。視覚の感覚信号が優れている方(動いていない物体をじっと見つめていられる)は、乗り物酔いになる可能性が低いといわれています。

推奨事項

  • 窓の外を見ると、体内のバランス感覚を再調整しやすくなります。
  • 仮眠を取る、または目を閉じる。
  • 症状を緩和する薬について医師に相談してください。

注意:このアドバイスは健康状態が良好なお客様を対象にした一般的なアドバイスです。特別な疾患をお持ちの方や、薬物治療を受けている方は、ご出発前に医師にご相談ください。